来月、つまり2017年9月に償還する社債の償還額はいくらになるのか。計算してみよう。償還額は2593BTCなのだが、この3年間、ビットコインの相場も順調に高騰し、足元の8月中旬の相場で見ると1BTC=45万円になっている。電卓をたたけばわかるが、来月もこの条件であれば社債の償還額はなんと11億6700万円になる。この会社は来月までにこれだけの金額を調達しなければ、デフォルト(債務不履行)を起こしてしまうことになる。

 これがビットコインで社債を発行する会社が直面するリスクである。

 実経済であえて似た話を探すと、通貨の弱い新興国がドル建てで資金を調達した場合と似ていないこともない。借りてから返すまでの3年間にドル高が進んでしまうと、返済するときにはとんでもない金額に跳ね上がってしまう。

償還額は莫大でデフォルトも?
調達資金は使わないほうがよい

 では、どうすればいいか。こんなことにならないためには、調達した資金をまったく使わないという手がある。

 2014年に1億円を調達した会社が、その1億円は使わずに2380BTCのまま取引所に置いておくとどうなるか。すると2017年8月にはその資金は10億7100万円にまで増えている。しかし待てよ、である。支払い金利分として9600万円を追加で支払う必要がある。金利もビットコイン建てなので、1億円の借入に対する金利も900万円ではなく、その10.7倍に増えてしまうのだ。やはりお金がまったく足りない。

 だからリスクを最大限減らすためには、1億円調達した直後に将来の金利分も含めて1億900万円分のビットコインを購入しておき、それを使わずにず~っと持っておくべきなのだ。

 でもそうなると、この会社は使ってはいけない1億円を調達した上に、900万円ものお金を余計に使えなくしてしまう。これではまったく儲からない。何のために社債を発行したのかということになる。だからファイナンス理論的には、ビットコイン建て社債というものは資金調達手段としては意味がないということになる。