そして、このようなビジネス環境においては、アイデアやプロダクトの共有化をいかにブレなく行うかが重要なポイントとなるため、言葉や文書に頼らずイメージを共有できる「可視化」の作業は必須となってくるのです。

 さらに、この、モノの形に落とし込む力である「可視化能力」は分解すると、「ハードスキル」と「ソフトスキル」で構成されていると、私は考えています。

デザインツールを使う技術よりも
「ソフトスキル」が重要

BCGDV リード・エクスペリエンスデザイナー 花城泰夢

 ハードスキルとは、いわゆるデザインそのもののスキルで、IllustratorやPhotoshop、3Dプリンターなどのツールを使って、構成やカラーリングの考案やアイデアを具現化できるといったいわゆる技能的なスキルのことです。傍目にはこれこそが「可視化」のためのデザイナーの主要な仕事のように思えます。しかし、意外なことに、このハードスキル自体は必要なものの、そのスキルがどこまで卓越しているかは、少なくともビジネス創出をミッションとするエクスペリエンスデザイナーにとっては、最重要なことではないと坪田と花城はいいます。

 というのも、現在は、デザインの表現方法もどんどん多様化・リアル化し、ツールの移り変わりも早いのです。一昔前は「イラレ(Illustrator)10年、フォトショ(Photoshop)7年」などと言われたそうですが、今はより実質的で、相手がイメージしやすいような可視化を実現できるUI(ユーザーインターフェース)やWebのデザインツールであるSketchやinVision、さらには3Dプリンターを使いこなせることの重要性が増しているそうです。実際、若いデザイナーの中にはIllustratorやPhotoshopをあまり使わないという人も出てきているといいます。

 そして、こういったツールを使いこなすというハードスキルは、あくまで表現手段としてのツールを使いこなすスキルであり、ビジネス創出の現場にいるエクスペリエンスデザイナーにはさらに深く、本質的な能力が求められるといいます。

 では、本当に求められるのは、どのようなスキルなのでしょうか。

 それは、コミュニケーション能力から、柔軟に新しいことを取り入れようとする好奇心まで、いわゆる「技術」ではなく、対人関係能力や本人の心構えを含めた「ソフトスキル」だといいます。

 まずは、そもそものビジネスのコンセプト自体を、理解し、共感できることが前提であり、さらには、ユーザーとの対話もさることながら、経営やビジネスサイドときちんと話せるということは、きわめて重要な能力だと言えます。