プラットフォーム製品・サービスとは
自社製品・サービスだけではく、他プレイヤー(企業、消費者)が提供する製品・サービス・情報と一緒になって、初めて価値を持つ製品をプラットフォーム製品・サービス(以下、適宜「PF」と表記)という。なお、ゲーム機のソフトなどのように、PF企業の製品を前提に他企業が提供する製品を「補完製品」と呼ぶ。電子書籍のコンテンツストアは、電子書籍ハードの補完サービスである。
任天堂DSやWiiなどのゲーム機やiPodなどの携帯音楽プレイヤーのようなハードPF、パソコンOSや動画ソフトなどのソフトウェアPF、DVDやブルーレイなどの規格PF、クレジットカードのような決済PF、楽天市場やYahoo!オークションのようなネットPFなどがプラットフォーム製品・サービスの例だ。
これらの製品・サービス市場は、1社の一人勝ちになりやすいと言われる。連載第1回目は、このプラットフォーム製品・サービスの一人勝ち(WTA: Winner take all)のメカニズムについて考えてみよう。
PF製品・サービスにおける
「一人勝ち」の形成要因
一人勝ち(WTA)は、PFだけに起こるものではない。過去、ジッパー、フィルム、ビールなどでも一人勝ち状況に市場がなったことがある。しかし、上記したようなプラットフォーム製品・サービスにWTAが多いのは、PF特有のWTA要因も存在するからだ。
PFに特有とは言えないWTA一般に関係する要因として、「先発性」、「規模の優位・収穫逓増性」及び「隔離されたニッチ市場の存在」がある。さらに、PFに特有の要因として、「ネットワーク効果」、「マルチホーミングのコストとメリット」、「事業シナジーの利用しやすさ(顧客誘導)」がある。