経営 X 人事

今、中小企業経営者を悩ませる「人材」にまつわる5つの課題

4.「技術の伝承が進まない」悩み

 中小企業では毎年新入社員が一定数入ってくるわけではない。不景気などで一定期間採用が行われずにいると、古株のベテラン社員と、久しぶりに採用した新人社員にスキルのギャップが生まれてしまう。だが、このギャップを埋める教育をする人手も時間もないため、「ベテランと若手の間で技術の伝承が進まない」というのもよく聞かれる課題だ。これに対する解決策として次の2つを紹介したい。

 中国地方の漬物製造のC社では、勘に頼る部分が多い漬物づくりに関わる社員の技術を高めるために、あえて熟練のパート社員と常にペアで行動させている。両者はライバルではなく祖父母と孫のような関係になるため、スムーズに伝承が進んだという。「お互いを名前で呼ぶような中小企業の職場だからうまくいったのだろう」と経営者は成功要因を分析する。

 一方、東京のもの作りの町にあるD社では、経営者が「暗黙のルール」を破る決断をした。暗黙のルールとは、新人は旋盤など汎用機の扱いを通じて技術を学んでからNC(数値制御)工作機械を扱うという慣習だが、「今の町工場には人が育つまで待つ余裕がない」ためNC(数値制御)工作機械の操作から学ばせることにした。「新人はパソコンやスマホの扱いに慣れているのでNC機械のほうが覚えやすい。操作に慣れて余裕ができたら汎用機を覚えればいい」。汎用機→NC機械の順では新人が戦力になるまでに何年もかかったが、NC機械→汎用機械であれば入社した年から戦力として扱えるようになったという。

 これらは、企業独自の慣習に疑問を持ち、見直したことで「技術の伝承が進まない」という従業員の世代間の課題を解決した例だ。

5.「女性社員が辞めてしまう」悩み

 今、国策として「女性活躍」が叫ばれているが、地方の中小企業ではもともと、女性社員に期待する経営者は多い。地方都市では男子学生は大都市の就職を望むが、女子学生は県内にとどまる傾向が強いため、戦力として定着しやすいからだ。しかし優秀な女性社員が出産を機に家庭に入ってしまう例は、地方都市では珍しくない。

 そこで、中部地方の小都市にある製造業E社では、育児休業が取りやすく復帰しやすい職場にするために、「人間関係が濃い」という地方ならではの強みを活かした社風をあえて作っている。

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