北朝鮮制裁を無力化する軍・党「裏ルート」の実態写真:「労働新聞」より

「北朝鮮が核兵器を世界のどこにでも撃ち込むことができるようになるのを食い止めないといけない。その計画を支える石油と資金を断つことだ」。制裁案作りを主導したヘイリー米国連大使は、制裁決議が採択された11日、こう力を込めた。

 採択された北朝鮮に対する国連の制裁決議案(2375号)は、「これまでで最も厳しいもの」(ヘイリー米国連大使)だったことは確かだ。「核兵器の製造、運搬の原動力」とする石油の禁輸に向けて、輸出枠を初めて設けたほか、北の主要な外貨収入源である同国繊維製品の輸出禁止措置も設けた。

 だが「体制崩壊」につながりかねない内容になることを懸念する中国やロシアとの妥協を優先したことで、制裁の「抜け穴」がいくつも残された。

明らかになった中国依存
原油需要の9割を供給

 まず、北朝鮮の生命線とも言われる石油については、原油は除外され全面禁輸ではなく、ガソリン・軽油などの石油精製品に限定して供給を年間200万バレルに制限するという内容だ。

 注目すべきは、この制裁案作りの過程で、中国が今まで「手の内」を見せなかった北朝鮮に対する原油や石油関連製品の供給量を明らかにしたことだ。