解散総選挙で隠された「議論なしの経済政策変更」を見逃すな写真:首相官邸HPより

 大義なき突然の解散に続いて、小池新党騒ぎで政界は沸き立っている。しばらくはも新党への合流を決めた民進党から候補者が公認を求めての大騒ぎは続くだろう。

 有権者そっちのけの選挙戦が始まろうとする状況で、安倍首相の衆院解散までの一連の動きを改めて振り返ると、日本の経済政策決定過程の不透明性が浮かび上がる。

 その象徴が、まったく議論がされないまま打ち出された消費税増税分の使途変更や、国際公約だった財政再建目標時期の先送りだ。筆者は、このことに対してマスメディアももっと注目・批判すべきではないかと考えている。

唐突な消費増税使途の変更
財政再建の国際公約の反故

「衆議院の解散検討」が主要メディアで報じられたのは9月17日だが、安倍首相が、2016年10月に消費税率10%に引き上げる際に得られる増収分を「教育無償化」などの財源にあてる考えを自民党幹部に伝えたのも、ほぼ同じ時期、解散を決断してのことだったという。

 首相の意向は、消費税増収分を、幼児教育や高等教育の無償化の財源に回すことにより全世代型社会保障を目指す、ということだ。

 だがもともとは2012年に、5%から10%への消費税増税を決めた際の自民、民主、公明の「三党合意」で決められ、法律化されている消費税収の使途は、医療・年金・介護・少子化対策の4経費(社会保障財源)に限定することが法律で定められていた。それを変更するという。