乱射事件が起きると銃が飛ぶように売れる米国社会「真の怖さ」ラスベガスで前例のない数の死者を出す悲惨な銃乱射事件が起きた後、「怖い経済現象」が起きたのをご存じだろうか Photo:AFP/AFLO

ラスベガス銃乱射事件後の
恐ろしい経済現象とは?

 アメリカのラスベガスで、また悲惨な銃乱射事件が起きた。それも前例のない形で――。事件の翌日時点で死者59人、負傷者は527人という大惨事だ。

 なぜこれだけ被害が大きかったかというと、犯人はホテルの32階の部屋から眼下のコンサート会場に無差別に乱射したからだ。しかも銃はフルオートマチックに(つまり引き金を引き続ければ自動的に発射されるように)改造され、100発を撃ち尽くすと弾倉を交換して、さらに撃ち続けたという。

 さて、このような事件が起きるたびに「なぜアメリカでは銃規制を強化しないのか?」と思ってしまう。少なくとも筆者個人はそう思うのだが、今回は逆の話をしようと思う。アメリカ人が銃規制に賛成しないのはなぜなのか、という話だ。

 それを理解していただくために、ある不可解な現象についてクイズを出したい。ラスベガスの銃乱射事件の翌日、アメリカの株式市場では銃器メーカーの株価が上昇した。それはなぜかというのが問題だ。

 そしてこの問題への回答から、さらに怖い「あること」を我々は理解することになるのだが、その種明かしはこのコラムの最後に持っていきたい。まずは、なぜ銃器メーカーの株価が上がるかだ。

 この現象は日本人にはなかなか理解し難い。銃の乱射事件が起き、大統領が事件現場を訪れて追悼し、全米も悲しみに暮れているという報道がなされている。そんな状況なら、日本人は「これから銃規制が強化され、収益が減る銃器メーカーの株価は下落するに違いない」と考えるはずだ。

 しかし、アメリカでは現実に銃器メーカーの株価が上昇した。そして銃乱射事件が起きる度に、株式市場で同様の現象が起きているという。

 事件後に銃器メーカーの株価が上昇する理由は、「このような事件が起きた直後に、全米で拳銃の売上高が増加するから」だという。実際に、事件後2~3ヵ月間は拳銃が売れに売れる状態が続くという。