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IoT最前線
【第4回】 2017年10月10日
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ダイヤモンド・オンライン編集部

ルネサスと大和ハウスはなぜIoTを「効率化」に活用するのか

将来の保守点検を考えると
スタートアップと組むのはリスクもある

 スタートアップに比べて、取引相手が老舗大手の場合は簡単に事業がなくならないという安心感もある。システムが完成してから時間を経て、システムを改修する必要が出た時に、スタートアップでは廃業している危険がある。住宅という、顧客が何十年も使う設備の場合、これでは責任が取れない。

 現在開発中の情報基盤では、プラットフォームを提供しているヤフーがスタートアップ企業と大和ハウスの間に入っているため、大和ハウスはスタートアップと直接取引はしない。またヤフーはスタートアップの開拓に力を入れているため、仮に提携中の1社が廃業してもサービスを継続できるようリスクを取っている。「開発投資は直接やらずに内容に合わせて組み方を注意する」というのが大和ハウスが「スマートハウス」の興隆以来、およそ20年間で積み重ねてきた知恵だ。

 連携以外にもIoTと住宅メーカーの組み合わせには越えなければいけないハードルがある。「継続」と「施工」だ。

 まず「継続」だが、住宅業界ではソフトウェアに対して追加更新が必要だという認識がまだ浸透していない。というのも、家を建て終えたらその後は基本的に維持費はかからないというのが、顧客への一般的な説明の仕方だったからだ。しかし、IT化を前提とするスマートホームでは、「ランニングコスト」の概念が必須になるため、顧客には管理費の負担が生じる一方、住宅メーカーにも裏側のシステムを運用する必要が生じる。

 もう1つの課題が「施工」だ。例えば、住宅設備のデータを購入者のスマホと連携するには顧客のスマホをいじって設定する必要がある。何かエラーが起きた時には顧客のスマホを預かって設定を確認する必要が出てくるが、顧客が日々使用する携帯電話を預かるのは現実的ではない。だからといって、顧客に操作マニュアルを渡し、「設定はお客様の責任のもとで……」とするのは、住宅の受け渡しに責任を持たないことになる。サービスの開発が鈍り、個人が必要なものを自己責任で買ってください、という論理にならないよう、気を付けなければならない。

 消費者向けの住宅メーカーにとって、現時点では間接業務の削減や業務効率化による自社内でのコスト削減にIoTを活用するほうが、より現実的なようだ。吉田主任は「今後IoTを活用するとすれば、BtoCよりもBtoB、もしくはBtoBtoCの方で真価が発揮されるのではないか」と話していた。

 IoTを単に“仕組み作り”にしてしまわずに「自社に何が足りないか」「何があると良いのか」を考え、それを解決するためにITを活かすことこそ、IoT活用だと言える。それが、ゆくゆく外部に向けたビジネスの種に繋がる可能性がある。

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あらゆるモノがインターネットで繋がるIoT(Internet of Things)。その仕組みを活用できれば、大きなチャンスが生まれるという。多くの企業が期待を寄せ、取り組みを進めるIoTだが、日本におけるIoT化は現在どのような局面にあるのか。チャンスを生かすための課題とは何か。有識者の声や産業界の取組みを紹介しながら、最新トレンドを多角的にリサーチする。

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