日本人の習慣が変わる!
誰でも遺言を書く時代がやってくる

 私は、遺言を作成したい方々のお手伝いをしています。日々行われる遺言作成の現場で感じたことのひとつに、「日本人はどうしてこんなに、遺言を書く人が少ないのだろう?」ということがありました。

 欧米では60~80%の人々が遺言を書いているのに対して、日本では亡くなる方の10%にも満たないとも言われます。日本で遺言を書く人が少ないのは、相続ドラマで骨肉の争いの原因として登場するものという悪いイメージのせいかもしれません。

 また、遺言をしたら寿命が尽きてしまうのではないかという思い込みもありますが、私は単に遺言をする習慣がなかったからだと考えています。

 遺言という制度を改めて考えてみると、あなたの意思がのこせて、法的効力もある、とても役立つ制度です。ここがエンディングノートと違う点です。

 確かに、遺言には、親の財産を次世代に引き渡す意思表示や遺産分割の準備という側面もあります。でも、遺言することをお金持ちや一部の高齢者のものだと決めつけることはありません。

 あまり知られていませんが、日本の法律では15歳から遺言を書くことができます(民法961条)。遺言は日本人にとって必要不可欠なものであり、本来、身近であるべき法律行為なのです。

 そして遺言は、何度でも書き直せて、最後の日付のものが法的効力を持ちます。法的効力があるということは、あなたの相続人が、争族(親族間で遺産を巡って争うこと)等のトラブルに巻き込まれる可能性が少なくなることを意味します。

 つまり、安心な気持ちで日々を過ごせるようになるのです。後世へのお守りという意味もあります。これも遺言作成のひとつのポイントです。

 東日本大震災以降、心の時代になったとも言われています。昨今では、天災事変だけでない不安要素も喧伝されますが、物質的な価値観は一瞬にして崩壊する可能性を秘めています。そんな時代の中で、自分と向き合い「本当に大切なものは何か?」を模索する動きが広まりつつあるのです。誰の人生にも遺言が必要な時代がやってきたと言えるかもしれません。