会社やチームのリーダーとして、いま、求められているリーダーとはなんだろうか? 責任をとること? 部下やメンバーの話をよく聞いて、仲を深めること?
『リーダーの言語化 「あいまいな思考」を「伝わる言葉」にする方法』の著者である木暮太一氏は、リーダーの本来の役割は、どこに向かって進むべきかを「言葉で明確に伝えること」だと話す。本記事では、木暮氏に「言語化」について教えてもらう。

ダメなリーダーは「部下が自分で動かない」と言う。優秀なリーダーは何をする?Photo: Adobe Stock

部下のマネジメントがうまくいかない理由

部下のマネジメントに悩む管理職の方は非常に多いのではないでしょうか。

「部下が思うように動いてくれない」「指示を出しても期待した結果が返ってこない」「チームの生産性が上がらない」などなど、部下が自走してくれないと嘆くリーダーは多いです。

こうした課題を解決しようと、多くのリーダーは部下との面談回数を増やしたり、より詳細な指示書を作成したり、チームビルディング研修を実施したりしています。

しかし、これらの「よかれと思ってやっていること」が、実は根本的な解決に至っていないケースが大半です。

ぼくがこれまで2000社をサポートし、累計3万人を指導してきた経験から言えるのは、マネジメントの課題の9割は「言語化スキル」の不足が原因だということです。

よかれと思ってやっている「間違ったマネジメント手法」の罠

多くのリーダーは、部下に自分で考えて自走してもらおうと、いろんな対策を講じています。

しかしその対策がズレてしまっているため、結果が出ていません。よくある間違った対策が「量で解決しようとする」です。

・面談の回数を増やす

部下とのコミュニケーション不足を感じると、週1回だった1on1を週2回に増やしたり、30分だった面談時間を1時間に延ばしたりします。

しかし面談時間を長くしても、そこで交わされる会話の質が低ければ、お互いにとって時間の無駄になってしまいます。

・指示を詳細にする

部下が期待通りに動かないと、「指示が足りなかったのかもしれない」と考え、より細かく具体的な指示書を作成しようとします。A4用紙1枚だった指示書が3枚、5枚と増えていく一方で、部下は「マイクロマネジメントされている」と感じ、自主性を失っていきます。

・コーチングスキルを身につけ「なんでも話してもらえる環境」を作ろうとする

メンバーが自走しないと、「何か悩みがあるかもしれない」と考え、それを聴きだすためにコーチングスキルを身につけようとします。ランチや飲み会などでオフサイトで腹を割って話そうとするかもしれません。しかし、会話する場を変えて話をしても状況は変わりません。

なぜ、これらの対策がうまくいかないのでしょうか?

それは、コミュニケーションの「質」の問題を「量」で解決しようとしているからです。

メンバーが自走しないのは「動かない」というより「動けない」からです。そして、メンバーが動けないのは、リーダーが自分の考えや期待をメンバーに明確に伝えられていないからです。

その状態で、面談の回数を増やしても、指示を詳細にしても、カフェで話しても、根本的な解決には至りません。むしろ、部下は「何を求められているのかわからない」まま、より多くの時間を費やすことになり、お互いのストレスが増大するだけです。