授業料無料で運営し
「共感」の輪を広げる

 最近、子どもたちから僕の元に届くビデオメッセージが増えています。僕に「社長」として、新しいものを買うことのできる権限があると分かってのことです。

 例えば、お掃除ロボットを開発したい、という子がいます。その子は、ビデオの中で「ルンバが欲しいです。研究材料として使い、絶対にロボットを完成してみせます」とプレゼンテーションしていました。新品を解体したいから買ってくれ、リバースエンジニアリングをしたい、と。なかなかすごいことですよね。

 そもそも、VIVISTOPは先生が付くような教室ではありません。子どもの創造力を引き出してそのアイデアをカタチにする。大人はそのサポート役です。

 今、僕たちの活動に共感してくれた人たちがサポーターとして参加してくれています。自治体や企業、教育機関、地元の方々ら、その輪は70人以上に広がっています。

 そこで、サポーターたちに「ルンバがあるか」と尋ねてみました。すると、「ちょうど捨てようと思っていた壊れたルンバがあります」という方がおり、子どもはルンバを手に入れることができました。

 実は、このビジネスモデルについてよく聞かれるのですが、事業計画のようなものはありません。その結果、このようなコミュニティー組織が発達し、想定外のことが次々と起きているのです。

 この活動は、僕が代表を務めるVIVITA(ヴィヴィータ)を通じて行っています。ですが、授業料といったものはありません。

 授業料でチャージすれば、確かに簡単に収入は得られるでしょう。ですが、中身の質を上げれば上げるほど、その分費用が掛かってしまい、授業料がどんどんと上がってしまう。それでは、一部の金持ちの子どもしか通えなくなり、本末転倒になると考えました。

 「無料で持続可能な運営をするにはどうするのか」。担当者たちは相当悩んだと思います。広告スポンサーを付ける案もありましたが、数百人レベルの子どもたちに対して広告効果は期待できません。

 それでも、授業料をベースにしたビジネスモデルだけは「絶対に認めない」として、今年3月にスタートしたのです。

 もしこれが「ものづくり教室」として授業料を月額数万円も取っていたら、子どもたちの成長も、コミュニティーの発達もなかったでしょう。ルンバだって提供する人は現れなかったでしょう。