製薬業界は2012年4月から医師への接待に対する自主規制を強化し、実質的に「接待禁止」の時代が始まる。製薬会社の営業戦略はどう変わるのか。一社で数百人から数千人を抱えているMR(医薬情報担当者)の存在意義はどうなるのか。9月に就任した英製薬大手アストラゼネカ日本法人のポール・ハドソン社長に聞いた。(「週刊ダイヤモンド」編集部 臼井真粧美)

ポール・ハドソン(Paul Hudson)/英製薬大手アストラゼネカの日本法人社長。1967年生まれ、英国出身。マンチェスター大学マーケティング修士課程修了。90年に英製薬大手グラクソ・ウエルカム(現グラクソ・スミスクライン)に入社し、複数の製薬会社を経て2006年にアストラゼネカ入社。08年から3年間スペイン法人社長を務め、11年4月から日本法人の副社長COO。9月から現職。

――来年度のガイドライン導入を前にアストラゼネカはいち早く接待をやめた。医師との接点であるMRの役割は変わるのか。

 MRはこれまで通り、医師・医療従事者とのコミュニケーションを続ける。クスリについての学術的な情報を提供するというMRの本質的な役割が変わったり、なくなるわけではない。やめるのは誤解を生じさせるような活動だ。新しいクスリを発売するときに配っていたボールペンなどノベルティを配ることもやめた。質の高い学術的な情報という価値あるものを提供する活動に徹していく。

――具体的な営業戦略は。

 デジタル媒体や講演のビデオ配信などでインターネットを通じた情報提供に力を入れる。また24時間体制で電話によるサポートを行い、「どうやってクスリを使えばいいのか」「容量はどのくらいか」といった個々の質問に随時対応する。