「意思を持ったAI」と
アルファ碁は別物だった!

夏目 AIについてこれだけは知っておいたほうがいい、ということはありますか?

岡田 はい。AIには「汎用型」と「特化型」があり、これが混同されていると感じます。汎用型AI(強いAIとも呼ばれる)は、意志を持ったロボットのようなものを指します。一方、特化型AIは、例えばプロの棋士に勝った「アルファ碁」や、当社が提供している検品を省力化するAIなど、特定の機能に特化したものを指します。

夏目 もうすぐ汎用型が世に出るようなイメージもありますよね。例えばマイクロソフトが女子高校生型の会話AI「りんな」を開発して話題になりました。LINEでりんなに犬の画像を送ると「コーギー」と犬種まで当ててくれるから、一瞬、意志を持った女子高生に思えます。しかしこれは、人間の働きかけに対して返答をする、特化型AIなんですよね?

岡田 そうです。そして現在、まだ汎用型は実現の目処は立っていません。そんな状況の中、企業の経営陣がAIを理解できず、「よくわからない何か」といった感覚でいると問題なんです。

夏目 日本がIT産業で出遅れたのは、上層部の無理解が原因だったとも言われていますからね。では、既存の機械とAIはどう違うんですか?工場の取材で、商品1包あたり何グラム~何グラムと決まっていて、商品が秤の上を通過したときに重さが適正でなければ弾く、というシステムを見たことがあります。これとAI、特にディープラーニングを活用した場合とどう違うんでしょう?

岡田 ディープラーニングは、画像や音声などの非構造化データの解析に秀でた技術であり、「視覚や聴覚に頼っていて、人間でなければできない検品」や「機械の状態を常に監視して事故を防ぐ」といったものに強みを発揮します。いままで経験豊かな人間が行っていたことの一部を機械に任せられる可能性がありますよ、ということです。既に機械化できているものは、それを使えばいいんだと思います。

夏目 なるほど、確かにAIはすごい技術ではあるけれど、「すべてがAIに置き換わる」、「人間もAIに駆逐される」と乱暴に考えるのは、おかしいんですね。