大塚家具には早く立ち直ってほしい

 私の商売の鉄則は、「良い物の価値を、十分な説明でご納得いただいて、値引きなしで売る」ということだ。家具業界に大きな反発を受けながらも取り組んできた改革であり、大塚家具は消費者に支持されてきた。その考え方は、今後この連載で詳しく述べさせてもらおうと思っている。

 振り返れば、売上高が数百億円から1000億円を狙えるまでに急成長を遂げている過程で久美子は入社し、内部体制の整備に力を注いでくれた。しかし一方で、彼女は物を売る現場で私の鉄則を学び、身につけてきたわけではない。会社を離れていたときには法科大学院にも学び、コンサルティングの会社を設立したように、きちんと理屈立てて考えるのが好きだし、それが正しいと思っているのだろう。

 それ自体を間違っているとは思わない。だが、創業者がどのような環境の中で、ある意味でワンマンで理屈に合わないような鉄則を駆使しながらも企業を成長させてきたかを、後継者として学ばせる必要があったように思う。そして、「姉弟の役割分担」を学ばせなかったことを深く反省する気持ちもある。

 匠大塚の社長を務める長男の勝之は、すでに四半世紀にわたって私のそばで私の経営を見ている。久美子とは逆に、私の感性や営業への姿勢などは十二分に学んできた。

 いったい「私と長男」、「久美子」のどちらが今後の家具販売の潮流をつくれるのか。今後、匠大塚は大塚家具の一番のライバルになるだろう。ただ、その勝負のゆくえよりも、私は、大塚家具には早く立ち直ってもらいたいと思っている。

(匠大塚会長 大塚勝久)

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