全国の新築マンション市況は、震災後の冷え込みから回復しつつあり、特に首都圏、関西圏を中心に人気物件が多く出現している。昨年9~11月の3ヵ月間、見学者および資料請求が多かった人気物件を全国から集めてみた。統計を分析すると、今後の売れ筋、王道をいくマンションの姿が見えてくる。
取材・文/住宅評論家 櫻井幸雄
都心マンションに値頃感
好立地の割安物件が続出
「新築マンション人気指数」は、資料請求数と販売センター来訪者、マンションの総戸数から算出される(右図)。今回は2011年9月1日から11月30日までの3ヵ月間を調査。計算の結果、指数1以上を人気物件とみなした。指数が2以上になると即日完売が発生しやすくなる。指数5以上は大人気、10を超えれば超人気といえよう。
今回、245物件を集計したところ、指数10を超えるものが計20物件に達し、うち6物件が即日完売という好況だった。そのうち指数15を超えるものが10物件。指数20を超えるものが4物件もあった。
震災以降、景気が低迷しているという見方が多いなか、爆発的に人気を集め、売れているマンションも実在するのだ。
人気指数10以上は、総戸数が少ない小規模物件が中心だった。
そんななか、総戸数223戸の大規模ながら、人気指数12となったマンションがある。野村不動産のプラウド駒場だ。渋谷を生活圏とする都心立地、東大駒場キャンパスに近く、静かな住環境。約60平方メートルの2LDKが5790万円からという価格が「割安」と判定され、12月の第1期販売では全223戸のうち163戸も売り出して、売り切る人気になっている。
人気指数が10を超える物件はほとんど都心立地で住環境もよい。好立地であるが、景気の低迷で価格を下げざるを得ない。その結果「割安」と評価され、人気が出たものと考えられる。
この現象は、首都圏以外でも見られ、愛知県のプラウド八事表山ヒルトップとパークホームズ名城公園、兵庫のプラウド芦屋三条町、パークホームズ夙川ザ レジデンスなど、地元では憧れを集めるプレミアム立地のマンションが高人気となっている。
予算に余裕があれば、そのようなプレステージ型マンションを狙ってみたい時期だといえる。
高規格高仕様の
ハイクオリティマンション
好立地のマンションが売れていると共に、高規格高仕様のマンションが人気を集めている。わかりやすい例が、都心湾岸エリアだ。
晴海、勝どき、豊洲、東雲、有明といった新しい街区が集まる都心湾岸エリアは「海に近い埋立地」であるため、東日本大震災後はイメージが低下。震災前から売っていた物件を除き、新発物件が途絶えていた。