好調な米国景気の陰で広がり始めた「高揚感」への反動懸念2月3日、米連邦準備制度理事会(FRB)の新議長に就任した、ジェローム・パウエル氏 (写真は昨年11月) Photo:REUTERS/アフロ

 今筆者は年明け後の金融市場関係者の見解を聞くために米国東海岸に来ている。当面の米経済については、やはり全般的に強気の見方が多い。

 昨秋から米景気の改善が顕著になってきたところに、さらなるカンフル剤である減税策が決まった。米トランプ政権は今秋の中間選挙に加えて、2年後の大統領選挙も強く意識しているようだ。

 次の大統領選は2020年。一般的には、選挙前年(次は19年)の経済が好調だと、現職大統領に有利に働く傾向があるからだ。民主党に相変わらずこれといった有力な大統領選候補が見当たらないこともあり、トランプ再選の可能性が意外に高まってきているのではないか、との予想も聞かれた。

 もちろん、経済が過熱して大統領選の当年にクラッシュしてしまえば、現職には不利となる。その点では、ジェローム・パウエル新議長率いる米連邦準備制度理事会(FRB)が、緩やかなペースで金利を引き上げ続け、適度なスピード調整を行えるかが注目だ。

 米国の景気回復は今年9年目を迎える。減税効果があるとはいえ、同国の過去の景気循環パターンでいえば、遠からず息切れが顕在化してきても不思議はない。

 一方、最近は米国や欧州、中国、日本など世界の主要国経済が新たな相乗作用を起こしながら世界経済を押し上げている。それが当面続いてくれれば、米経済の失速時期は先送りされるとのアップビート(楽天的)な見方も聞こえた。