シャープは液晶テレビの不振などを原因に、通期決算で過去最悪の2900億円の最終赤字を見込む。急務となる経営再建策を聞いた。

シャープ社長 片山幹雄<br />“壊れた”テレビ市場から<br />抜け出す用意はできているPhoto by Masato Kato

──利益が生み出せないテレビ事業を今後どうするのか。

 昨年末から1月半ばにかけて、リーマンショック後と同じ落ち込みをした。

 国内では年末商戦で盛り上がるシーズンに、家電量販店のテレビ売り場には、誰もいなかった。昨年12月は予想を下回り、台数ベースで前年同期比30%台、売上高ベースで同20%台になってしまった。

 一方、シャープが強い競争力を持つ超大型テレビ(60インチ以上)は北米で前年比7倍の台数が売れている。中国にもそのような兆しがある。テレビ市場全体は落ちているが、60インチ以上はめちゃめちゃ売れており、来年度は世界で200万台を超える。これに情報ディスプレイ「ビッグパッド」や、サイネージ関連もあり、来年度上半期は(生産調整する)堺工場の60%まで内需で埋められる。

 また高精細な医療用モニター、デザイン用モニターには大きな市場がある。来年度のテレビ事業黒字化はやり切る。

──業績回復には、大規模なリストラが避けられないのでは。

 国内のテレビ事業が赤字になったのが厄介だ。本質的には固定費が重く、それは営業や間接部門の人件費だ。その削減のために、これから伸びる事業に人員シフトをかけているところだ。

 これまで外部委託していた業務も社内に取り込む。売上高の落ちたぶんだけ、余力のある社員たちは仕事を変えて、修理業務やサービス業務にも振り替える。肥大化した固定費を、配置転換で解消する。そういうリストラを春までにやり終える。