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元「広告批評」編集長・河尻亨一の「月刊マーケティング時評」

ソーシャルが生み出す、これからのビジネス、
マーケティング、クリエイション

対談●ITジャーナリスト・イケダハヤト×河尻亨一

河尻亨一 [元「広告批評」編集長/銀河ライター主宰/東北芸工大客員教授]
【第3回】 2012年2月21日
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ソーシャルの浸透と
クリエイティブの行方

河尻 今後ますますソーシャルが世間に浸透していくとして、その時代におけるクリエイティブがどうなるか? ということも聞いてみたいですね。僕は従来の表現とはかなり違うトーンとスタイルになっていくだろうと考えているのですが、イケダさんは何かイメージがありますか。

イケダ ご質問の答えになっているかわかりませんが、「つくる」ことで人がつながったり、自分の魅力を認めてもらえる何かだと思います。僕自身の考えですが、今の時代に創作しないのはもったいないのではないでしょうか? 創作と言ってしまうと大げさに聞こえるかもしれませんが、ブログを書くことだってクリエイティブな行いだと思うんです。

「インバウンドマーケティング」といわれるように、専門性と魅力あるコンテンツを自分で用意し、そのコンテンツに営業してもらうこともできるわけですから。

河尻 つい「自信がない」とか「コワい」というふうに考えてしまいがちですが、一歩踏み出すことで得られることもあるかもしれませんね。

イケダ それに必ずしも一人でやらなくてもいいわけですから。複数の人たちで何かをつくり上げ、そのプロセス自体を共有することも大切だと思います。そういう発想でつくらないと広がらないと思うんです。そのためのクリエイティブにはシンプルさも必要です。

 たとえば、今勢いのある「charity:water」というNPOはクリエイティブが際立っているのですが、水の問題を解説する動画一つ取ってみても、インフォグラフィックスを使ったすごくシンプルでわかりやすいつくりになっています。つまりソーシャルメディアでバズる、議論のタネになるコンテンツを彼らはつくれるんです。

河尻 ということは「ソーシャル×クリエイティブ」は無敵ですか?

イケダ うーん……これは多くの人が指摘することですが、ソーシャルメディアのコミュニケーションは細路的にならざるをえない面はあります。同じ興味関心を持っている人たちから広まるぶん、そのなかに閉じてしまうことにもなりかねないわけです。そこは弱点でもありますね。

 ですから、ほかのメディアとのコラボレーションによりジャンプすることの必要性は感じます。つまりPRの戦略が重要です。「charity:water」もNY Timesなどが取り上げることで、一躍知名度が上がりました。

河尻 なんにせよ“タックル”していくことで道が拓ける部分はありそうです。

イケダ そうですね。企業でも個人でも何にタックルしているかを明確にすることは大事だと思います。ユニクロとグラミン銀行の提携事業はCSRとしてはもちろん、ブランド戦略としても優れていると思います。『服のチカラ』という小冊子をつくるなど自社の取り組みを説明するコミュニケーションも巧みで、企業としてその問題にタックルしているということが伝わります。その本気度が共感を生むんだと思います。

 あと『エンパワード―ソーシャルメディアを最大活用する組織体制』という本などにも書いてあることですが、企業がソーシャルメディアを活用する場合は、顧客や従業員への「権限委譲」は必須じゃないでしょうか。オープンさを備えたリーダーシップがなければ、なかなか前に進みませんから。

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河尻亨一
[元「広告批評」編集長/銀河ライター主宰/東北芸工大客員教授]

1974年、大阪市生まれ。99年、早稲田大学政治経済学部卒業。お茶の水美術学院講師を経て、2000年より雑誌「広告批評」(マドラ出版)に在籍。08年、編集長就任。10年、同社退職後、雑誌・書籍・ウェブサイトの編集、企業の戦略立案およびPRコンテンツやイベントの企画・制作を手掛けるほか、講演活動なども行っている。

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元「広告批評」編集長・河尻亨一氏が、ヒット商品、イケてる人や企業、話題の現象……などなど、「ヒト・モノ・コト」にまつわる旬のテーマをマーケティングの視点から読み解く時代批評です。

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