大統領としての統治力は知見や経験に基づくものではなく、既成の政治家にはない発想とやり方に基づくものだ。おそらく既成政治家のやるような政権内の手順に従うことなく、自分の判断を前面に出した「驚き」を演出することを重視すると思われる。

 特に現在の米国の内政事情を見れば、日々トランプ大統領の政治的立場は困難になりつつあると言える。ロシアゲートの捜査は身辺に迫り、同時にティラーソン国務長官の解任など政権内の混乱もますます厳しくなっている。

 こうした状況で、北朝鮮問題は11月の中間選挙に向けて歴史的成果を誇りうる格好の材料となりつつある。国内での失地回復のため、北朝鮮問題を利用するようなことになるリスクも大きい。

 このように、金正恩委員長とトランプ大統領のいずれの特性も「不確実性」であり、うまく行けば従来にない大きな成功につながるかもしれないが、後述するように、決裂し、結果的にはさらに対決が深まる大きなリスクを併せ持つ。

首脳会談に何を期待するか
成果見込めれば電撃訪問も

 これらのことは、どこに首脳会談の場所を選ぶのか、にも反映されるだろう。

 首脳会談がよく準備され、成果を挙げ得るという見通しがあれば、ピョンヤンにトランプ大統領が行く、あるいは金正恩委員長がワシントンを訪れるといった「驚き」を演出する可能性もあるだろう。

 小泉元首相訪朝の際も、一定の具体的成果を想定してピョンヤンを電撃的に訪問した。

 今回の米朝首脳会談が、むしろ交渉の始まりといった性格の首脳会談という位置づけがされるのであれば、おそらく中立的な場所になるのだろう。

 双方の代表部があるニューヨーク、ジュネーブあるいは北朝鮮大使館の存在する欧州・アジアの国、場合によっては板門店と言うこともあり得るかもしれない。