書名通り、わが国の成年後見制度の問題点を指摘しているのだが、事例があまりにかわいそうなものであること、法律・制度に明らかな不備がある一方でその完全な解決案がないこと、自分や家族の身にも十分降りかかる可能性があるくらい身近な問題であることのそれぞれに慄然とした。記述は平易で、紹介される知識は実用的なのだが、テーマが何とも「重たい」。

 端的に言って、65歳以上のあなたには、いきなり家庭裁判所が指名した見も知らぬ弁護士、ないしは司法書士が後見人としてつく可能性がある(きっかけは親族であることも、自治体であることもある)。

 その後見人は、あなたの財産を管理する権限を持ち、あなたや家族は後見人の同意なしには自分のお金を使うことができなくなる。加えて、後見人は資産額に応じた少なからぬ報酬を、被後見人の財産から勝手に差し引いて受け取る。こうした状態が、あなたが死ぬまで続きかねないのだ。

 高齢者や知的障害者などが、弁護士、司法書士など士業の食い物にされかねないのだが、家庭裁判所や自治体のような司法・行政がこれを後押ししがちなのだ。

 本人や家族が望まない後見人から身を守る方法はいくつかあるのだが、筆者が読んだ限りでは、完璧な防御は難しいと思えたし、成年後見制度に関する知識を持っていなければほとんどの人が無力だろう。

 ご自身の身に不幸が降りかかってこないうちに、成年後見人制度の問題点を知っておくべきだし、その上で、自分や家族の財産と生活をどう守るか、最晩年期の資産管理の方法を考えておくべきだ。老後のお金の問題を考える全ての人に、一読を勧めたい大事な本だ。

「後見人ビジネス」の怖さ

 成年後見人の制度、及びこれに関連する法律は相当に複雑なので、詳しくは前掲書に当たってほしいが、後見には本人と親族などの後見人候補者が契約を交わす「任意後見」と、家庭裁判所が後見及び後見人を決定する「法定後見」があり、後者は、本人や家族ら4親等以内の親族及び自治体の首長などが、申し立てを行うことができる。申し立てがあると、本人の近くの家庭裁判所が、職権で後見人を選任する流れになる。