その結果、木材を「燃焼」すれば1kgあたり4000~5000kcalの熱量が得られたものが、「ガス化」することで1立方メートルあたり800~900kcal程度の熱量に弱まってしまうのです。

 これでは、たとえ用途範囲が拡大したとしても、ガス化する意味そのものを考えてしまいますよね。また、熱分解の過程で、大きな分子量のまま残った炭化水素は冷却とともに液体状のタールや、すすとなり、ガス機器を痛める原因にもなるのです。

空気の代わりに超高温の水蒸気を利用する
理想的な「ガス化」技術を開発

 高カロリーの熱量を持ち、タールなども残さない、そんな技術があれば、それは理想的なガス化技術と言えますよね。そんな理想的な技術を開発した会社が、今回ご紹介する日本ファーネス株式会社です(*1)。

 日本ファーネスは、燃焼装置をはじめとする熱設備を設計・製造・販売する企業です。従来型のガス化技術と、この会社が開発したガス化技術との違いを一言で述べると、高温の空気熱の代わりに、超高温(1000℃以上)の水蒸気を使うことにあります。

 通常、液体としての水は、H2Oの分子同士が互いに結合した状態で存在しています。この水に熱を加えていくと、気体である水蒸気になりますよね。この状態ではH2Oの分子は切り離され、単独で存在するようになります。

 この水蒸気にさらに熱を加え、1000℃を超えるようになると、今度はH2Oの分子中の酸素(O)と水素(H)が、瞬間的にくっついたり離れたりする、非常に不安定な状態になります。この状態を“ラジカル”と呼びます。この不安定な状態を落ち着かせようとするために、ラジカルな状態の分子は、有機物と結びつきやすくなると言われています。

【図3】水→加熱蒸気→超高温加熱蒸気のプロセス

 こうした特徴を持つ1000℃超の超高温の水蒸気が、木材などの有機物(個体燃料)へ直接熱を与え、それが分解されると、一酸化炭素(CO)と水素(H)を主成分とする「可燃ガス」が生成されます。その発熱量ですが、窒素(N2)やCO2など余計なものが混じらないため、1立方メートルあたり2000~4000kcalと従来のガス化手法比3~5倍の熱量が得られるのです。

 また、ガス機器を痛める原因ともなっていたタールや、すすなどの発生も抑制されます。これは、ラジカルな状態の分子が、大きな分子を残さないためと考えられています。

【図4】超高温水蒸気ガス化のしくみ

 このように書くと、超高温水蒸気を用いたガス化は、理論的には簡単なように思えます。でも、いざ実用化となると、そこには大きな技術的な壁が立ちはだかっているものです。