実用化の前に立ちはだかる壁を超えた
別用途からの技術転用

 水蒸気を高温化する方法としては、金属チューブなどの中に水蒸気を通して、外側から高温ガスなどで加熱する方法が一般的です。でも、この方法では、たとえ耐熱金属を用いたとしても水蒸気温度は800℃程度が限界と言われており、1000℃を超える水蒸気を作り出すことが出来ないのです。

【図5】
間接式熱交換による水蒸気加熱

 この技術の壁を超えたのは、日本ファーネスも参加した「ニューサンシャイン計画」という、90年代後半に産学官連携で行なわれた高性能工業炉の開発の中で生まれた技術がきっかけだったのです。

 ここで開発、実用化されたリジェネバーナ(蓄熱式熱交換器内臓型バーナ)は、連続して高熱の状態を保つことが出来る技術で、日本ファーネスは、このリジェネバーナを研究開発するなかで、さらなる高温化技術の研究を進めていきました。そこで、従来の金属チューブに代わる素材として注目したのが、自動車の触媒などに使われていた「セラミックハニカム(蜂の巣状の陶器)」でした。

 陶器を用いることで耐熱温度が向上し、ハニカム(蜂の巣)の形状を採用することで表面積が増え、その結果、熱交換の性能が増して1000℃を超える温度まで気体を加熱する技術を確立したのです。そして、この技術を利用することで、高温の水蒸気を連続的かつ安定的につくり出すことが出来るようになりました。

【図6】
リジェネ式の水蒸気過熱
【図7】
Super Intensifier(SI)の構造

ひとりの技術者がずっと思い描いていた
理想的なガス化実現の夢

 そもそも、高温水蒸気ガス化の研究は、同社の開発者の一人である保田力(69)さんの体験から生まれたものでした。保田さんは、東京工業大学を卒業後、三井物産に入社し、その後アメリカに赴任しました。そこで、石炭のガス化技術と出会います。