米国で“スタートアップ”に熱い視線が注がれている。
“スタートアップ”とはベンチャー企業のことで、これまでのベンチャー企業とは置かれた環境が異なる。いまは「事業創造2.0」とも呼ぶべき新時代が到来しているのだ。
昔と違う代表的な点は、なんと言ってもIT革命による変化だ。資金も時間も圧縮され、お金がなくても短期間で新しいサービスや製品が提供できるようになった。そして、これはベンチャーのエコシステム(生態系)を変容させ、スタートアップを育成する“アクセラレーター”と呼ばれるインキュベーターや、小さな資金を提供するベンチャー・キャピタルである“マイクロVC”が台頭している。
これに刺激を受け、日本でも毎月のようにインキュベーターが設立され、ベンチャー企業のビジネスプランを競うコンテストやプレゼンテーション大会はそこかしこで開催されている。
本連載は、一部で盛り上がる日本のスタートアップに対して、おもねることなく、課題と可能性について実例をあげながら議論していく。米国のそれとは似て非なる日本のインキュベーション事情や、起業家がどうインキュベーションを活用するべきか、またすべからずか。また、女性やシニアなど、新たな予兆について事例を紹介し、可能性について示していきたい。
金がかからない“スタートアップ”と
それを支援する“スーパーエンジェル”
米国では、ベンチャー投資で近年大きな変化が起こっている。
一つは、未公開株式市場の発達だ。フェイスブックやツイッターなど話題の未上場企業の株式が注目され、セカンドマーケットやシェアズポストなどのマーケットで取引されている。