電通の「働き方改革」の1つである「RPA」の利点と課題は?電通の「働き方改革」の1つである「RPA」の利点と課題とは?

電通の「働き方改革」の1つである、業務の一部をロボットで代替する「RPA(Robotic Process Automation)」が注目を集めている。今回は前回に引き続き、この陣頭指揮を執る、同社ビジネスプロセスマネジメント局の小柳肇氏が、社内改革の進め方やRPAを一般企業にどのように導入したかを「組織の病気」の著者・秋山進氏と語り合う対談の後編。働き方改革を成功させるための体制の作り方、月に1度は週休3日を設けるのはなぜか、AIは雇用を奪うのか、そして業務を機械化した先にある、驚くべき本当の目的とは何か。「ロボットハラスメント」など新しい語も飛び出し、さらに議論は深まった。

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トップ主導で「早く帰る、休む」を押し切る
6月からは月1回、週休3日を試験導入

秋山 前回から話を伺っている「RPAを活用した業務の効率化」など、働き方改革では、現場をその気にさせるためにいろいろ工夫が必要ですね。反対部署を味方につけるのもそうですが、やはりトップのコミットメントが欠かせない。そのあたりはいかがですか。

小柳肇(こやなぎ・はじめ)
電通ビジネスプロセスマネジメント局 局長 兼 CoE推進室長。小柳肇(こやなぎ・はじめ) 電通ビジネスプロセスマネジメント局 局長 兼 CoE推進室長

小柳 改革を始めてから、原則22時以降、翌朝5時までは業務を禁止することをトップ主導で徹底しています。

秋山 今回の対談打診も土曜日に送ったら、2日間音沙汰なしで、お返事は月曜日の早朝にいただきました(笑)。

小柳 会社が申していることは、土日などに仕事を離れて休む、気分を変える、ほかのことを考える、普段会わない人に会う、仕事以外の経験をする、知見を広める――それこそが結果的に新しいアイデアに結びついたり、本人のモチベーションが向上したり、仕事にフィードバックされたりと、よりよい働き方、さらにはよりよい生き方の好循環を作り出すのであると。

 新たに設定された休務日のことを「インプットホリデー」(第1回は6月8日)と呼んでいるのは、そうした理由からです。見え方は「1ヵ月に1回週休3日を取り入れた」のと同様ですが、実際には「インプットのための日」です。体を休める人もいれば、モチベーションアップのためにその日を有効に使う人もいるわけです。とりあえず試験的に12月まで続けます。もちろん社長以下、役員も率先してそれぞれのインプットのために休みます。