新政権の掲げる政策を実施すれば、
1000億ユーロ以上の財政負担に

 さて、イタリアの新政権は、発足時に自ら“ポピュリズム政権”であると宣言しています。主な政策には、

(1)一定の所得水準に満たないイタリア市民に対して1人当たり780ユーロを支給
(2)失業者の就業促進のための雇用促進センターの再編・拡充のため約20億ユーロの投資
(3)2階建てフラット税(所得税、税率は低所得者層15%、高所得者層20%)を導入して減税、
(4)2019年1月から予定されていた付加価値税(VAT)の税率引き上げの中止や、たばこへの自動的な追加の廃止、

 などがあり、全ての政策を実行すると1000億ユーロ以上の財政負担になると試算されます。これはイタリアのGDPの6%程度に相当する額です。

 イタリアでは、2017年の財政収支は対GDP比▲2.3%となりました。ユーロ圏では財政赤字を同▲3%以下とすることが義務付けられており、イタリア財政は現状この範囲内に収まっています。しかし、新政権が掲げる政策を実行すれば、財政が悪化することは必至です。このため、イタリアは2019年度の予算を成立させるためにはEUと交渉を行う必要があり、今年夏から秋にかけてこの交渉が本格化すると見込まれます。

 イタリアとEUとの議論を経て、相互が歩み寄る場合には、イタリア新政権の財政政策はより財政負担を軽くする方向へと修正され、EU側は反移民・反EU姿勢を示すイタリア新政権に対して移民対応や財政ルールの柔軟化などを示すことも考えられます。

 一方、EUとの議論を経てイタリアが財政政策を修正するに当たり、政権内で意見が対立したり、政権が分裂したりする可能性もあります。この場合、ようやく成立した新政権が崩壊し、再選挙となることも考えられます。事実上双頭のイタリア新政権においては、意見がまとまらない可能性も十分に考えられます。

 さらに、新政権がEUに対して強硬な姿勢を続けて、EUとの非協力的な関係が強まる場合には、金融市場での不安が高まり、イタリアなど南欧諸国の債券利回りが上昇することや、通貨ユーロが一段と下落する懸念もあります。