オンラインゲームは際限ない深みにはまる危険性も
ただし、その人のまわりの現実世界に、親でも兄弟でも友人でもいいので、ゲームの成果を評価してくれる人がいることが必須条件です。
基本的に、ゲームばかりやり続けることに対して、ほとんどの人は後ろめたさを感じるものです。それで時間をつぶしてしまうことに罪悪感も感じるでしょう。いくらゲームの中でほめられても、所詮ゲームの中で評価されたにすぎないという思いを常に持っているのです。だからこそ、周囲にいてそれとなく見守ってくれる人が必要なのです。
さらに言えば、私が想定していたのはゲームソフトとして完結しているものです。これらは、最終ステージまでクリアすればそこでゲームは終わります。だからこそ達成感が得られます。
ところが、最近のオンラインゲームには終わりがありません。向き合い方によっては限りなくレベルを上げることができるので、のめり込めばのめり込むほど達成感から離れていくという皮肉な現象すら起こってしまうのです。
また、オンラインゲームではある種の人間関係が生まれます。
オンライン上で誰かと対戦したり、仲間と協力しながら進めたりするゲームでは「あの人に負けたくない」「あの人もやっているから自分だけ抜けるわけにはいかない」という心理が働き、かえって精神的な負担が大きくなります。
また、バーチャルな人間関係で傷ついたり、女性だとわかったとたんに相手からセクハラを受けて嫌な気持ちになったりという話が聞こえてきます。人間関係に疲れた人が、ゲームというバーチャルな世界で新たな人間関係に悩むという皮肉な現象です。