管理職になりたくない上に
転職まで決意した女性部下

 ある金曜日、そんなTマネジャーは、女性部下のAさん(29歳)と話をする機会がありました。そこで交わした会話から、Aさんはマネジャーになりたくないと思うどころか、転職まで考えてしまったのです。いったいどんな会話だったのでしょうか。

Aさん 「そういえば、明日土曜日ですけど、また休日も仕事するんですか?平日の真夜中とか土曜日とかでも大量のメールに返信しているみたいですし、家庭は大丈夫ですか?」
Tマネジャー 「私、時短で働いているし、帰った後、みんな仕事頑張ってくれているでしょ。いつも悪いなって思ってしまって…。それにうちは夫が家事をあまりやってくれないから、平日は夜中にならないとメールを確認できないのよ」
Aさん 「時短なんですから、悪いと思っちゃだめですよ。そもそも、Fマネジャー(43歳男性)もいるじゃないですか」
Tマネジャー 「そうなんだけどね…。ほら、Fさんって何て言うか、少しのんびりしたタイプで、いろいろ大きな決断するのに時間がかかる人みたいだから…」
Aさん 「それでは時短で働いていても、結局、ものすごい労働時間ですよね。管理職って残業代は出ないんですよね?」
Tマネジャー 「そうね…。でも、やりがいもあるし、マネジャー職になれば年収も上がるし。時短じゃなくなったらいつも通り働けるはずだしね…」

 この会話の後、Aさんは「これが現実なのか」と思うと同時に、少なくともこの会社では管理職にはなりたくないと思うようになり、今後のことを考えて転職を決意してしまったのです。

 こうした会話をした後、Aさんは以前に比べて積極的にメンバーとコミュニケーションを取らなくなってしまいました。Tマネジャーは、「あの日、何かよくないことを言ってしまったのではないか」と悩みました。