【高評価の解答例】
 わが国は超高齢社会に突入しており、すでに人口の4人に1人以上が高齢者となっている。今後、高齢化率は一段と高まり、将来的には国民の3人に1人以上が高齢者という時代が到来する。高齢者が暮らしやすい街を実現することは自治体にとって重要な課題となっている。そのために、以下の1つの観点から取り組むべきである。
 1つ目として、ハード面の整備をすることが挙げられる。たとえば街のバリアフリーを進めることだ。公共施設でのエレベーターやスロープなどを整備し高齢者が生活しやすい街づくりを進めていくべきだ。行政の施設は行政の責任において、また、民間の施設であっても、駅などの公共性の高い施設については、補助金等の制度を充実させて取り組みを推進していく必要がある。バリアフリーは高齢者のみならず、障がい者や妊婦などにとっても必要な施策であり、ユニバーサル社会の実現という観点からも求められる。一方で、郊外に住む高齢者は移動の手段がなく、買い物や通院など日常生活に支障をきたしている場合がある。人口が減少する中、民間のバス路線の維持も困難になっており、地域によっては行政主導のコミュニティバスやオンデマンドバスの運行が求められる。
 2つ目に、ソフト面の取り組みとして、高齢者の見守り活動や生き甲斐づくりなどが求められる。高齢化に伴い一人暮らしの高齢者が増えていくことが予想され、精神的な孤立や孤独死が心配される。行政が自治会やボランティアなどに呼びかけ見守り活動を行うことや、新聞販売店や郵便局と連携し、いつもと様子が違う家を行政側に連絡してもらう仕組みを作る、といった方法が有効である。また、自治体の保健師が一人暮らしの高齢者宅を定期的に訪問し、健康面や心理面の相談に乗ることなども一層力を入れていくべきだ。食事のバランスなどをアドバイスしたり、必要に応じて医療機関の受診を勧めたりすることは、病気の予防や早期発見に効果があるほか、何かあったら相談できるという安心感につながる。この他、高齢者向けの体操教室や趣味の教室などを公民館等で開くなど、高齢者が多くの人と関わりながら健康で活き活きと暮らせる環境を積極的に作っていく必要がある。
 高齢化は、すべての自治体が直面している重要な課題である。こうした施策に行政が意欲的に取り組み、高齢者が暮らしやすい街を実現していくべきである。(以上)。

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※参考記事
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