最近、大規模な自然災害が相次ぐ中で、「防災省」設置をめぐる議論がある。その代表的なものが、石破茂衆院議員による「防災省構想」であるが、果たして防災省は必要なのであろうか。(室伏政策研究室代表、政策コンサルタント 室伏謙一)
「防災省」構想の背景
石破議員の趣旨
7月に西日本を中心に甚大な被害を出した豪雨災害では、行政の初動の遅さに批判が集中した。
「もっと早く◯◯していれば……」、こうした声、意見がメディアを通じて多く聞かれた。確かに災害時には、最悪の事態を想定した先手先手の行動が重要であろうし、ほんの数分が被害の拡大を防ぐか否かを分けるとも言われる(江戸時代の火除け地はそれを計算した場所・面積であったようだ)。
しかし、そうは言ってもそうした判断にはある程度の知識や経験の積み重ねが必要だし、いきなりやってくる自然災害に冷静沈着に妥当な判断ができる人というのは、相当限られてくると考えていいだろう。
だからこそ、災害時には行政の役割が極めて重要なのだが、今回の豪雨災害では、その行政の動きが遅かったことが被害の拡大につながり、非常に多くの被災者を出す結果を招いたとされている。
「想定外」といわれるような大規模な自然災害が毎年のように起きていることもあり、今回の初動の不手際を受けて、災害対策、防災行政を強化しろという声が上がるようになってきた。
その代表例ともいえるのが、石破茂衆院議員による「防災省構想」である。