相談の聴き方を間違えると大変Photo:PIXTA

昨今、管理職に求められるスキルの1つに、問題解決やコミュニケーションに役立つ「傾聴」があります。しかし、その本質を理解してない段階で使ってしまうと、間違った方向へ向かうことも少なくありません。連載「管理職養成講座」第17回では、部下の話を傾聴していたつもりのマネジャーが、部下の信頼を失ってしまった事例を紹介します。(MICA COCORO代表 産業カウンセラー 宮本実果)

「傾聴スキル研修」を受けた
管理職の元に部下がやってきたが…

 大手IT企業に勤めるKさん(男性・39歳)は、地元の大学を卒業した後、都内の大手企業2社を経て、今春、この企業にヘッドハンティングされてやってきました。過去の経験を買われてマネジャーに就任、3人の部下とともに新規プロジェクトの準備に追われる日々を送っています。

 Kさんは、好奇心旺盛な性格で、研修や自己学習で学んだことはすぐに職場で実践するタイプです。今回、初めてマネジャー職に就き、メンバーとの信頼関係を構築する必要があると考えて受けた「傾聴スキル研修」についても、アウトプットの機会をうかがっていました。

 すると、就業時間後に部下のAさん(女性・33歳)が相談にやってきました。これはチャンスだとばかりに意気込んで相談に乗ったのですが、途中からAさんの顔は引きつるばかりでした。その時の会話をご覧ください。