格差や貧困問題の是正が放置されているうちに、「アンダークラス(パート主婦を除く非正規労働者)」が900万人を突破、日本は「階級社会」への道を突き進んでいる。中でも「中間階級」が崩壊、新たな貧困層が生まれてきた。それは、どん底一歩手前の「マイルド貧困」とも呼べる新たな階級だ。そこでDOL特集「『マイルド貧困』の絶望」第9回は、固定費やプチ贅沢が重くのしかかっている20代の“港区女子”を追った。(ライター 横山薫)
仕事の帰りが遅くなり
職住近接の港区に引っ越し
「昨春から希望の部署で働けることになって、収入も少し増えたんです」
そう語るのは、港区のITベンチャーで働く高島亜香里さん(仮名・28歳)だ。都内の大学を卒業後、港区にあるIT系ベンチャー企業に就職。入社5年目の昨春、新規プロジェクトを企画する希望の部署に配属された。
「部署が変わって収入が少し増えただけでなく、忙しい部署なので残業も増え、額面で月32万円、手取り収入は月26万円ほどになりました。ボーナスも2ヵ月×年2回あり、収入としてはそれなりに満足しています。でも、仕事が終わるのが遅くなったので、昨年、会社にも近くて通いやすい港区に引っ越したんです」