米国とメキシコで大筋合意していた北米自由貿易協定(NAFTA)に代わる新協定にカナダも加わることが決まった。安堵(あんど)感から米国株は上昇した。新協定の主なメリットは、ドナルド・トランプ米大統領の主要な保護主義的な公約の1つが詰め込まれていることだ。ただ、新NAFTAは貿易と経済成長にとっては現行協定よりも劣る内容だ。それと新協定をNAFTA 2.0とは呼ばないように。トランプ氏は主要公約の1つを果たしたことを誇示すべく、新協定を「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」と呼んでいる。この点に関して、米国が一方的に協定から離脱していた場合の大損害を避けられたのは良かった。しかし、新協定は下記のグラフが示す通り、正当性を裏付けるものというよりも安堵感をもたらすものだ。株価はトランプ氏が世界中で手当たり次第に貿易紛争を仕掛け始める前の1月に付けた最高値をようやく更新した。市場は過去9カ月、トランプ氏の貿易に対する血気盛んな言動に一部呼応して上下してきた。市場が着実に上昇し始めたのは、トランプ氏が欧州との通商協議に合意し、側近らにNAFTA再交渉の妥結を命じてからだ。
NAFTA妥結、収穫は惨事の回避
新協定は貿易と経済成長にとっては現行協定より劣る内容だ
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