米国では航空券から塗料まであらゆる物が値上がりしている。数年にわたり低インフレが続いていたが、ここにきて燃料や金属、食材のコストが上昇しているため、企業は顧客への転嫁を図っている。米家庭用洗剤・漂白剤メーカーのクロロックスやコカ・コーラは直近の四半期に一部製品の値上げに踏み切った。他のメーカーや航空会社もこの1週間に値上げを発表している。ケロッグのスティーブ・ケヒレーン最高経営責任者(CEO)は10月31日のインタビューで、「2019年は景気後退局面後のどの年よりもインフレ傾向が強くなるとみている」と述べた。米経済にとっては微妙な時期だ。失業率は過去数十年で最低の水準にあり、経済成長は力強い。インフレ率は米連邦準備制度理事会(FRB)の目標である2%に近いが、労働力不足と関税問題がエスカレートすれば、物価上昇への圧力が加わりかねない。一方で輸入品の価格を下げるドル高など他の要因は、そうした圧力を弱める可能性がある。どこかの段階で、物価高は経済成長の勢いを弱める。投資家はインフレが勢いを増すことでFRBの利上げが加速するのではないかと懸念している。