スバルのもう一つのアキレスけんは、膨張する世界最大市場の中国において、日本の大手自動車メーカーで唯一、生産拠点を持っていないことだ。中国では現地メーカーとの合弁が義務付けられており、スバルも合弁会社設立に向けて取り組んではきたが、中国当局に“無視”され続けている。

 電気自動車(EV)シフトを国策として進める中国では、内燃機関車製造工場の設立許可を厳格化している事情もあり、スバルは中国進出の流れに完全に乗り遅れた格好だ。市場の変化が激しい中国において拠点を持たないことは、旺盛な需要を取り込む商機の損失につながりかねない。

 またスバルが「守るべき母国市場」と位置付け、登録車の月販1万台維持を目標に掲げる日本国内では完成検査の不正発覚以来、厳しい状況が続く。

 国内販売台数は昨年10月まで13カ月連続の前年同月比増を記録したが、不正発覚直後の11月以降、前年割れが続く。一時自粛していたテレビCMを年明けから再開したが、今年4月にはついに月販1万台を割り込んでしまった。