その背景には、これまで米国販売増で量の成長が急速に拡大した半面、「質の成長が追い付いていなかった」(中村社長)反省がある。今回明らかになった完成検査の不正だけではない。近年、リコール数が増加傾向にあり、販売店から苦情も届いていたという。
ただ管理を必要以上に強めてしまっては現場が萎縮し、スバルの強みである独自性や“尖った”技術開発力が削がれてしまう可能性も指摘される。運転支援システム「アイサイト」は、間違いなくスバルの独自性が生み出したたまものだが、この分野は自動車メーカーのみならず開発競争が激化しており、今後もスバルが優位性を維持できる保証はない。
出遅れているEVの開発を含め、研究開発費の増大は避けられない。18~20年度は前の3年間より18%多い総額4000億円に積み増す計画で、これはスバルの営業利益率を押し下げる要因となるだろう。
外部環境が変化し、業界を超えた競争が激化する中、スバルは量と質の成長の二兎を追う難しいかじ取りを迫られている。