『トヨタシステム』
門田安弘 著(講談社/1985年)(文庫版の出版は1989年)

 本書は、まず1983年に英語版が出た。当時、米GMや米フォード・モーターの関係者は幾度も読み返したという。「トヨタ生産方式」を体系的に説明した初の本だった上に、「カイゼン」の神髄についても各論で具体的に理解できるため、80年代の日本の製造業を代表する一冊となった。全体思想として生産工程を最適化するために各部品の消費速度を一定にし、不良品が次の工程に流れないようにする。このシステムを機能させるために「かんばん」などのサブシステムがあり、年間何万回もの頻度でカイゼンされるという組織的制度があった。

 実は、この手法を熱心に取り入れたのが米アマゾンだという。なぜ日本から、アマゾンのような異業種が出なかったのかを考えながら読み返すのも面白い。

(百年コンサルティング代表 鈴木貴博)