製薬業界で今年最大の買収案件となった武田薬品工業によるアイルランドの製薬大手シャイアーの総額620億ドル(約7兆円)の買収計画について、投資家は間もなく開催される臨時株主総会で意思表示の機会を得る。武田の株主が計画を断念させる結果を支持することもあり得るが、同社の株はいずれにせよ割安だ。シャイアーと武田の株主はいずれも今週、賛否の票を投じる。計画承認には武田の株式の3分の2に相当する賛成票が必要だが、承認にこぎ着けるかどうか多少の懸念はある。武田の元会長は最近、反対の意を表明した。今年これまでの株価の反応からすると、反対しているのは元会長だけではなさそうだ。武田の米国預託証券(ADR)は今年約35%下落している。同社の負債が過大に膨らむことへの懸念が主な原因だ。それは正当な懸念だろう。買収契約成立時の純負債は500億ドル近い額となる。予想EBITDA(利払い前・税引き前・償却前利益)の5倍にも達し、業界の標準をはるかに上回る。
武田薬品株は安すぎる、シャイアー買収決戦前夜
株主総会がどのような結果になろうと期待できる
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