米金融大手ゴールドマン・サックス・グループはアジアでの事業を推進し、パートナーへの監視を緩めた。それが、疑惑のマレーシアの政府系ファンドとの取引に対する警告サインを見過ごす結果につながった。内部資料や取引に関わる関係者とのインタビューでそうした経緯が浮かび上がった。2012年に香港での会合に出席したシニアバンカーのメモに、汚職疑惑の中心である債券発行引き受けに関するゴールドマンの事前審査の要点が記されていた。それによると、「ワン・マレーシア・デベロップメント(1MDB)」がまっとうな投資ファンドであるかどうかや、これまでの実績がなぜ記録されていないのかといったことには関心が払われなかった。問題として「メディアの厳しい目や政治による監視の可能性」や、ゴールドマンに手数料収入がいくら入るのか――2億ドル(約225億円)近い額だった――そしてその金額が公表されるかどうかを挙げていた。