子どもたちには、絶滅動物に興味を持って欲しい
――そもそも、子どもたちに絶滅動物に興味を持ってもらうには、どうすればいいでしょうか?
丸山 大人向けの詳しい本はあるけど、子どもには読みやすくはないし、絵を見て楽しむくらいですよね。だから自分で言うのも何ですけど、僕らの本のような気軽なのを見て、気になる生き物がいたらインターネットで調べる、というのが一番お手軽だと思います。何か一つの絶滅動物を調べようと思っても、1種にたくさんのページを割いている本は少ないですから。
ぬまがさ 博物館に行くのも、意外とお手軽ですね。古生代の動物の化石や標本を扱っているところって、けっこうあるんですよ。
丸山 インターネットで検索すると、どこに何の剥製があるとか骨があるとか分かりますから。たとえば千葉の我孫子市鳥の博物館には、ドードーの復元模型や、モアの骨もあるんですよ。それに、博物館の人って質問すると本当に丁寧に教えてくれます。興味があったら、そういうアプローチもありなんじゃないでしょうか。
ぬまがさ 上野の国立科学博物館も本当に充実していますよ。スミロドンとかティラコスミルスとかパラケラテリウムとか、先ほど話に出てきたメガテリウムも展示されています。本だとどうしても大きさはイメージしづらいところがありますが、化石を見ると「こんなに大きかったんだ!」と一発で分かると思います。絶滅動物は残っているものが少ない分、化石などを見ると本当にワクワクします。
丸山 逆に古生代のものは、「意外とみんなちっちゃいな!」と思いますよね。それも楽しい。
――では、すでに興味を持っている子どもが「もっと絶滅動物について知りたい」と思ったとき、親はどうすればいいのでしょう?
ぬまがさ 興味を持ったら、少し本格的な書籍を手に取ってみてもいいでしょう。私の本の参考文献リストにある『古第三紀・新第三紀・第四紀の生物』(技術評論社)などは比較的読みやすいですし、面白いエピソードも多く、より絶滅動物の知識を深めたい人にイチオシです。
丸山 子どもには、難しい本を読むことを強制したりはせず、「こんな本あるよ」くらいの感じで置いておいて、上手く読んでくれたら後で感想を聞いてみるのがいいんじゃないでしょうか。「どの動物が好きだった?」とか「どうして?」とか。それで子どもが「大きいから」と答えたら、「じゃあどれくらい大きいか、今度博物館に行って見てみようか」と誘ってみたり「ちょっと難しいけど、こんな本もあるよ」と見せたりする。読ませるという方向付けじゃなくて、興味を持ったときにその先に導く、というのがいいと思いますね。
ぬまがさ 強制すると、かえってそっぽを向かれますもんね(笑)。
丸山 僕の場合は、小さいときに「どうもこの子は恐竜の本ばかり見ている」といったふうに親が僕の好みを理解して、さらに恐竜の本を買ってくれたり、図書館に行ったときに「これ借りる?」と薦めてくれたりと、ゆるい感じでした。親から「これを読みなさい」と強制された記憶はないですね。
ぬまがさ それは、いいことですね。何を好きになるかは人それぞれですからね。
丸山 鳥が好きな子もいれば、魚が好きな子もいる。でも何で好きなのかとなると、子どもは自分の中で分かっていないと思うんです。そこへ親が問いかけてあげると、自分はこういう理由でこの動物に惹かれているんだ、と発見があるかもしれません。
ぬまがさ あと、どんな本でもいいから何となく絶滅動物の名前を見ておくというのは意外と大事なことだと思っていて。というのも、たとえば何となくでもプラティベロドンとかいう名前が脳に残っていると、たまたまテレビやどこかの本棚でその名を見たとき「あ、分かる!」となると思うんです。そうやって後から生きてくることがあるので、本でざっくり読んでおくということは、私は必要だと思うんですよね。
丸山 ドラえもんにもドードーやモアなど絶滅動物はよく出てきますからね。ほんの少し知っているだけで、大きな興味を持つ取っ掛かりになる。「まったく知らない」と「少し知っている」は大違いです。
ぬまがさ 何がきっかけになるか分かりませんから、私もそういった取っ掛かりの一端を担えれば嬉しいなと思います。
――本日はお忙しいなかありがとうございました!