「龍」のモデルとも言われる絶滅動物とは?

――ぬまがささんが一番好きな絶滅動物は何ですか?

ぬまがさ 私もやはり大きいマチカネワニが好きなんです。全長7.7メートルの化石が見つかっていて、現存しているワニでは一番大きいイリエワニをはるかに凌ぐ大きさですから。一度、絶滅動物図鑑展でマチカネワニを原寸大で描いて飾ろうしたことがあるんですけど、部屋に紙が入りきらなくて。こんなに大きいんだ! と衝撃を受けました。そんな巨大なワニの化石が、日本の、大阪の待兼山から見つかったというのもまたロマンを感じます。

丸山 しかも、見つかった化石が7.7メートルだったというだけで、最大サイズはもっと大きい可能性がありますからね! 対してイリエワニは6メートルの個体がいるといっても、それがほぼ最大サイズですから。

ぬまがさ 眉唾かもしれないですけど、マチカネワニは中国にもいて、それが龍のモデルになったんじゃないかという説もあるんです。私はその説がすごく好きで。もう滅んでしまった生物が、そういう形で語り継がれて人々の生活に残っていたと思うと、ある意味滅んでいないなとロマンを感じるんです。

――他の語り継がれている架空の生き物にもモデルがいたのかもしれないですね。

ぬまがさ カッパはニホンカワウソを見間違えたんじゃないかと言われてます。妖怪も、今は滅んでいるけどこの動物だったんじゃないか、という話はたくさんありますね。

丸山 そのまんま、カワウソという名前の妖怪もいるくらいですからね。

ぬまがさ そうやって生き物を語り継ぐ人間の性質っていいなと思います。ルイス・キャロルが『不思議の国のアリス』にドードーを登場させたこと然り。動物は常に文化と結びついてきたんだなあという点も、私にとっての絶滅動物を学ぶ意義の一つでもありますから。