「絶滅ブーム」の火付け役ともいえる、人気著者ふたりによる対談企画!第1回では「ブームの理由」、第2回では「人間が滅ぼした動物たち」をテーマに語りましたが、最終回となる第3回では、「子どもの学び」という観点から、絶滅動物の魅力について迫ります。
年末年始、親戚の集まりが増えるこの時期、お年玉として子どもたちに「絶滅動物の本」をプレゼントしたり、一緒に博物館に出かけたりしてみてはいかがでしょうか?(文/山本奈緒子)
実際に見てみたかった絶滅動物は?
――絶滅動物に詳しいお二人ですが、実際に見てみたかった動物は何ですか?
丸山貴史さん(以下、丸山) 僕はメガテリウムですね。体長6メートルと超巨大で、地上をのしのし歩いて、背中にも骨の板みたいなものがあったから、ちょっとぐらい後ろから噛みつかれても平気だった。ずっと無敵だったから、人間がやって来ても警戒せずに狩られてしまったんですけど……。でも、考えてみると、そんなに強くて巨大な動物がつい1、2万年前まで存在していて、僕達人類と接触しているというのは、すごいことですよね。
ぬまがさワタリさん(以下、ぬまがさ) たしかに。人間って今まで自分たちが存在してきた時間を絶対視しがちですよね。でもじつは生物史から見たら、人間が登場したのなんてつい最近のことでしかない。
丸山 今の人間が現れたのが20~30万年前ですからね。人間は自分たちが残した記録がたくさんあるので、膨大な時間を生きてきたような気がしてしまうんでしょうね。
――メガテリウムは100万年以上生きていたんですよね。絶滅したとは言っても人間よりはるかに長い期間を生きている。そう思うと人間が絶滅することも大いにありうるんだなあと感じました。
ぬまがさ 過去の生物を学んでいくと、人間のスケールを相対化して知ることができますよね。自分たちってそんなに長く生きていないんだ、と謙虚になれると思います。
丸山 人間が滅んでその地層が残ったとしたら、「こんなに薄いのか!」ということになるでしょうね(笑)。ただ、今の時代ってコンクリートだとかプラスチックだとか人工物が多すぎるので、今までの地層とはまったく異質なものができるはずです。だから、今は新世代の第四紀完新世ですけど、もうすでに「人新世」に入っている、と言う人もいます。
ぬまがさ まあ、それを観測する生物がいればの話ですけど。未来人か、または宇宙人が今の人類が残したものを見て、どれくらい推測できるのか。そこはちょっと興味深いですよね。
丸山 絶滅動物の痕跡を集めて人間がいろいろなことを推測しているように、いつか未来人が人間の痕跡を見つける日も来るかもしれないですね。「液体窒素で保存されていた完璧なヒトの標本を見つけました!」とか言われるんですかね(笑)。
ぬまがさ でも、じつはゴリラの間違いだったりして(笑)。