2017年の日本の労働生産性は、47年連続で主要先進7ヵ国(G7)で最下位だった。これを「欧米人に都合のいい指標だから気にしなくていい」とスルーするのはあまりにも危険だ。事実、労働者の賃金は低いまま放置され、ブラック企業がはびこっているのが今の日本。指標を間違いだと決めつけるのはやめて、「日本の社会システムが狂っている」ことを素直に認めるべきだ。(ノンフィクションライター 窪田順生)
日本の生産性の低さは
数字のトリックに過ぎないのか
先週、公益財団法人・日本生産性本部が、日本の2017年の労働生産性が主要先進7ヵ国(G7)で最下位だったと発表した。
このワースト記録は、なんと47年連続。東京オリンピックまでこんな調子が続けば、「50年間、生産性を上げることができなかった先進国」という、誇らしくない世界タイトルを獲得してしまうのだ。
という話をすると、決まって「欧米の連中が勝手に決めた指標などまったく気にしなくていい」なんて感じで、開き直る人たちがたくさん出てくる。彼らの主張はおおむねこうだ。
「日本という国は、世界でもトップレベルの質のいい商品・サービスを、その辺の先進国の常識ではありえないほど安く提供している。この『低価格』によって、計算上ではどうしても労働生産性が低くなってしまっている」
要は、あくまで「価格設定」がネックになっているだけなので、卑屈になる必要はまったくないというわけだ。それどころか中には、実は日本人労働者の生産性は、世界の1、2を争うくらい高くて、「G7最下位」なんてのは数字のトリックに過ぎない、と声高に主張される方もいらっしゃる。