ソフトバンクグループは難問に挑んでいる。同社はシェアオフィス大手の米ウィーワークに160億ドル出資する計画だったが、追加の出資額をわずか20億ドルに縮小した。出資縮小の背景には、ソフトバンクが設立した10兆円規模の「ビジョン・ファンド」の最大の出資者――サウジアラビアとアブダビの政府系ファンド――がウィーワークへの投資を渋っていることがある。難色を示すのももっともだ。ニューヨークに本社を置くウィーワークはハイテク企業独特の売り言葉に流ちょうで、自らを「物理的なソーシャルネットワーク」と呼び、「世界の意識」を高めることができると主張している。だが、オフィスの長期リース契約を結んで短期のまた貸しをする同社のビジネスモデルは、本質的に不動産会社と変わりない。これまでのところ、ソフトバンクの支援で急成長することができたが、マーケティングや改装に多額の費用を費やし、少なくとも3年ほどは通期の黒字を達成していない。