(4)「取り締まり強化」犯人説

【内容】以前ならば、行政などからの予防的な警告があったのちに、改善が見られないと初めて勧告や指導を受けたものだが、いまは、スパンが短く、すぐに問題化し、処分を受ける時代になっている。グレーゾーンも以前よりは厳しく問われるようになっている。

【評価】公正取引委員会、労働基準監督署、消費者庁なども、持ち込まれた音声や写真、動画等の動かぬ証拠があれば動かざるを得ない。また、これらの行政指導の情報もホームページなどで、注意や処分の対象事例一覧を誰でも容易に見て知ることができる。また行政機関も自分の組織の存在感を示すため、定期的にキャンペーンを張り、厳しく取り締まっている傾向はなきにしもあらずである。

 しかしながら、数そのものが劇的に増加しているわけではない。たとえば独占禁止法の排除措置命令等の件数は、2013年以降、18件、10件、9件、11件、13件と横ばいで推移している(参照:平成29年度における独占禁止法違反事件の処理状況について)。景表法違反の措置命令(国と自治体)なども2013年が109件と多く、その後は33件、16件、28件、58件となっている(参照:景品表示法に基づく法的措置件数の推移)。

(5)「情報流動化」犯人説

【内容】内部告発、SNS等の発達、外部企業との提携などで、これまで内部に隠蔽されてきた諸問題の情報が外部に流出しやすくなっている。企業側も隠蔽していると思われないようにするために、各種の問題行為を積極的にディスクローズするようになっている。

【評価】外部に出ていく情報量は明らかに増えている。また、一般の人もたとえば株式投資をしていて、企業の情報がメールなどで届く設定にしていれば、ちょっとしたニュースでもすぐに知り得てしまう。その中でもSNSの威力はすさまじく、人目を引く写真や動画が投稿されると、その重大性や背景事情はあまり考慮されず、おそろしいスピードで伝播していく。複雑なものは好まれず、一目見て悪さが際立つものが拡散する。たとえば、一昨日はA社役員のSNS上での問題発言、昨日はB社のぞんざいな電話応答のやり取りの音声、今日は、異物が混入された食物の写真、といった具合である。

 はるか昔の思い出だが、小学校の低学年のころ「終わりの会」で、「だれだれさんが掃除をさぼりました」「だれだれさんが靴箱を蹴っていました」というような細かい「告発」が延々と行われていた記憶がある。

 現代は「だれだれさんとだれだれさんが密会していました」「だれだれさんがスピード違反していました」といった「告発」が後を絶たず、さながら「終わらない終わりの会」状態になっている。不祥事が増えたと感じる最大の原因はおそらくこれである。