中国経済は長らく懸念されてきた「ハードランディング」のリスクにさらされている。ハードランディングとなれば、成長の急減速が雇用に打撃を及ぼし、世界の債券・外為市場に大きな問題をもたらしかねない。原因となるのは、トランプ米政権が信じたがるような米国の貿易圧力ではない。中国政府が自ら「シャドーファイナンス(影の金融)」を締め付け過ぎたことが原因だ。民間部門の借り手はしばしば銀行融資を取り付けるのに苦心するが、政府は代替の融資経路を整えることなく取り締まりを強化した。その結果、中国人民銀行(中央銀行)は9カ月にわたり大規模な緩和を実施したにもかかわらず、信用拡大の減速には歯止めが掛からないままだ。こうした傾向が近く反転しない限り、卸売物価指数(PPI)はマイナスに陥りかねず、多額の債務を抱える産業部門が大きな問題に見舞われる恐れがある。