オプジーボも最初はその類いだろうと思われていた。しかし違った。いざ患者に投与してみると、驚くほどの効果を示した。

 悪性黒色腫を皮切りに15年には肺がん(非小細胞、以下同)、16年には腎細胞がんとホジキンリンパ腫、17年には頭頸部がん、そして胃がんと次々に有効性を証明して承認を取得していったのである。

 そもそもがんの免疫療法とはどんなものなのか。

 人の体内では日々、がん細胞が生まれる。免疫細胞(T細胞)が正常に作用すれば、がん細胞は適切に排除され、健康体が守られる。

 しかし免疫が弱まったり、がん細胞が免疫にブレーキをかける“悪巧み”をしたりすると、がん細胞を異物として排除し切れないことがある。そこで免疫本来の力を回復させてがん細胞をやっつけようというのが、がん免疫療法だ(上図参照)。

 その一つ、免疫チェックポイント阻害剤は免疫にかかったブレーキを外すことで本来の免疫の働きを取り戻すものだ(下図参照)。