「この薬がもし効いたら丸坊主になるよと言った先生(医師)がいた。臨床試験が始まったらとてもよく効いた。びっくりしながら、坊主にはならんけど協力しようと言われた」

 小野薬品工業の相良暁社長は2014年に日本で最初に製造販売の承認を受けた免疫チェックポイント阻害剤「オプジーボ」が医療界の常識を覆した様を振り返り、苦笑いした。

 医師の間では当時、がん免疫療法への不信感が大きかった。がんの三大療法(手術、薬物療法、放射線治療)に次ぐ、第4の治療法といわれることもあったが、「効く効く」と何十年もいわれ続け、結局、科学的根拠が乏しいものばかりだった。