JDIのある幹部は「うちやINCJのネットワークだけでは中国から補助金を引き出して現地に工場を建設するなど不可能だ」と認めており、中台連合の仲介で初めて実現する計画だ。だが、無論、それもタダではない。その裏には厳しい現実が待ち構えている。

600億~800億円で実質買収

 現状、JDIは中台連合から600億~800億円の出資を受け入れる方向で交渉中だ。JDIの新株発行に当たっては、中台連合から1株当たり47円での買い付けが提案されたという。

 もっとも47円で800億円規模の普通株を買い付けられれば7割近くの議決権を握られる。JDIは、議決権は50%未満に抑えたい考えで、残りは優先株の発行を検討している。1株当たりの価格についても引き上げを求める考えで、厳しい交渉が続いている。

 一方の中台連合側は、議決権を50%未満に抑えることは了承しているが、30%以上は確保する考えで、INCJに代わって筆頭株主になるのは確実だ。

 さらに関係者によると、中台連合は5人の取締役を派遣する要請もしている。現在、JDIの取締役は、東入來会長と月﨑義幸社長に加え、社外取締役を合わせて計6人。今年6月の株主総会で2人の社外取締役が退任する予定で、ここに中台連合の5人が加われば、計9人の取締役の過半数を押さえられる。

 中台連合が筆頭株主の座とともに取締役会の過半数を握れば、JDIを実効支配する力は十分だ。事実上の買収提案でJDIに揺さぶりを掛けている。

 だが、瀬戸際に追い詰められたJDIには中台連合の買収提案を拒否できる力は残されていないようだ。そもそも、JDIが増資交渉を急ぐのは、アップルの「iPhoneXR」の販売が低迷しているためだ。今期のXR向け液晶の出荷量は、計画比で半減する見込みで、2月に入って主力の白山工場(石川県白山市)の稼働率は50%前後まで落ちている。