三宅社長の後任として15年に就任した磯崎功典社長が掲げたのは「キリンの再生」だった。ブラジル事業や、加藤元社長が買収したオーストラリアの乳業事業など、懸案事業の売却を次々に決定し、大型M&Aは事実上封印した。

 収益性の改善を大目標として掲げ、ROE(株主資本利益率。のれん等償却前)と平準化EPS(平準化当期利益÷期中平均株数)の成長率をターゲットとした上で、連結営業利益1600億円を目指すとしたのだ。

 拡大から一転、構造改革モードに入ったキリンは、その間海外での大型M&Aを敢行したアサヒグループHDとサントリーHDに売上高と総資産で抜かれた。

 特に売上高では、17年度に08年度以降初めて2兆円を割り、大手ビール業界では3番手に沈んだ。さらに、不採算事業の切り離しなどで総資産でもアサヒより約9500億円、サントリーより約2兆2000億円小さい“小ぶり”な会社になったのである(図1)。

規模は縮小でも
利益とCFは最高水準に改善

 ところが、縮小均衡に入ったキリンの業績は、利益およびキャッシュフローの面から見てこの20年間で最も良い状態になっている。

 17年度の連結営業利益は2111億円で、12年度に出したこれまでの最高益1503億円を大きく上回った(図2)。さらに(親会社の所有者に帰属する)当期利益は2421億円、フリーキャッシュフロー(FCF:営業キャッシュフローと投資キャッシュフローを足したもの)は2849億円で、どちらも過去最高を記録した(図3)。セグメントごとの内訳で見てもこの傾向は同様だ(図4)。