独メルケル政権の連立相手である中道左派の社会民主党(SPD)は、米国の「核の盾」でドイツを守る数十年来の合意を見直し始めた。トランプ政権になって隙間風が吹く米独関係がさらに悪化する可能性がある。SPDはこのほど、冷戦時代の合意である「核の共有」の利点も含め、戦略や外交・安全保障政策に関する党の立場を見直す委員会を設置した。党幹部が明らかにした。核の共有とは、ロシアが欧州を攻撃した場合、ドイツの軍用機を使って米国の核兵器を発射し反撃するというものだ。背景には、米国がロシアの違反を理由に中距離核戦力(INF)廃棄条約からの離脱を表明したことがあるという。ドナルド・トランプ米大統領はこれまで度々、北大西洋条約機構(NATO)批判を展開してきた。だが今回のSPDによる動きは、長らくNATOに懐疑的でなかった欧州の中道左派からもNATOの結束が脅威にさらされていることを示している。